成長戦略は徹底した規制改革で

 国富を増やすのに官僚主導の経済活性化策が効果を発揮する時代ではありません。また当然のことながら、民間企業の自由な経済活動を後押しすることで経済成長を実現すべきです。
 そして長期的には、基礎研究分野への思い切った財政投資を通じて潛在成長力の上昇を目指すべきですし、短期・中期的には徹底した規制改革を通じて経済成長を目指すべきです。
 以下具体的に記します。

1 日本新開国宣言

(1)年率4%以上の名目成長で、今後10年間で所得を5割アップさせることを目標にします。
(2)民間企業の自由な経済活動を後押しします。基礎研究等事業化が民間企業だけでは難Lいものを除き、政府が特定の産業分野を集中して育成すること(ターゲティングポリシー)はいたしません。
(3)日本は「貿易・投資立国」であり、世界標準の合理的な経済政策を進め、閉鎖的な規制や制度は見直します。海外からの直接投資についてGDP比5%を目指します。日本が通商ルールの事実上の標準づくりを主導することによって、諸外国に対して優位に通商交渉を進められるよう取り組みます。
(4)TPPのみならず、日中韓FTA、RCEP、日EU等の広域FTAを推進し、日本の国益を最大化します。また、アジア・太平洋諸国とエネルギーや安全保障分野を含めた戦略的な提携関孫を強化します。
(5)アジア域内の規制緩和(外貨規制等)を進め、必要な規制についでは共同制度(競争政策、知的所有権等の国際調和、紛争解決等)の構築を図ります。
(6)TPPに限らず通商交渉を行う上で、外務省・経済産業省・農林水産省をはじめとした関係府省を横断して専門で交渉を行う部署を内閣に立ち上げ、担当職員の専門性を高め、交渉相手国との人間関係の構築を継続して行うための長期任用の環境を整えます。

2 成長を確実にする金融政策
(1)デフレからの脱却を確実なものとするために、政府と日銀で物価安定目標や達成時期、日銀の果たすべき機能・責務を明記した協定を締結します。
(2)日銀が物価の安定に加えて「雇用」「名目経済成長率」に配慮すること、内閣に、国会の同意を条件とした総裁や副総裁・審議委員の解任権を付与することを日銀法で規定します。

3 規制改革、税制改革で民間を後押し
(1)医薬品販売に代表される過度な対面販売規制等を撤廃し、ITビジネスを促進します。
(2)実態に合わない様々な税制特別措置を抜本的に見直すとともに、法人税(実効税率ベース)を現行から20%へと減税(赤字企業の損失繰越期間の延長、繰戻還付の拡大を含む)します。
(3)国主導の産業政策からは脱却。民間の自由な設備投資を促進するため、税側上の償却期間設定は事業者の自由に任せる「自由償却税制」を導入します。
(4)「ノーアクションレター制度」(法令適用事前確認手続)の適用範囲拡大や利用促進を通じ、官僚による裁量行政を徹底的に排除します。
(5)インターネット等を通じて不特定多数の人々から少額の資金提供を受けること(クラウドファンディング)の法整備や出資と融資の中間の資金提供手段(メザニンファイナンス)の推進等、多様な資本調達の選択肢を用意します。
(6)経済成長には資金の流れを円滑にすることが重要です。事業性資金についてはリスクに見合った金利設定を可能にし、必要なところに資金が回る仕組を構築します。
(7)のれん代の非資産化または一括償却を前向きに検討します。

4 医療・介護大改革
(1)カルテと薬剤オーダリングのIT化を推進。同一効能で価格の安いジェネリック薬品の普及と先発薬品の薬価適正化を進め、薬剤費の削減を目指します。
(2)混合診療を段階的に解禁します。ドラッグラグやデバイスラグを解消し、世界最先端の医療機器や医薬品を速やかに国内で使用できる体制を整えます。
(3)医学部の新設に関する規制を緩和して、医師養成数を増やし、早期に現在のOECD加盟国平均の人口千人あたり医師3人の水準を実現します。
(4)医療・介護施設全体について、サービスを提供する法人の制度を見直します。公益性、公共性が高い事業であっても、適正に運営できると認められる法人には門戸開放し、同時に運営状況のチェック機能を確立することで、サービスレベルの維持向上と効率化を図ります。
(5)在宅医療充実のため、看護師一人からの訪問看護ステーションや単独型訪問リハビリステーションを認める等、規制緩和を推進し、他職種との速携を強化します。医療行為を認められた看護師(ナース・プラクティショナー)資格の導入を検討します。看護師の離職防止と職場復帰促進とともに、看護配置基準を柔軟化し、適正配置を行います。
(6)沖縄県にメディカルツーリズム特区を創設します。認定国の医師免許を保有する医師による医療行為を可能とし、認定国で認可された薬品も安全性に配慮したうえで使用を許します。沖縄県民が特区内で医療行為を受ける場合、保険適用とします。
(7)看護師や介護士等専門技能を有する外国人高度労働者の受入を拡大します。

5 国内外の新市場開拓
(1)日本の魅力、各分野でのコンテンツの素晴らしさを積極的に取り上げ、情報発信の在り方、特に海外に向けた広報を強化。その際、徹底したマーケティングとブランディングを行います。また、日本の漫画、アニメ、小説、ゲーム等の振興を図ります。
(2)基礎研究分野に加え、「国際規格競争」(通信、スマートグリッド、電気自動車、地デジ等)を勝ち抜くための施策を国として推進。ISO (国際標準化機構)、EC(国際電気標準会議)等における日本の影響力の拡大に努めます。
(3)水道運営事業の民間開放を推進。世界で最も上質な上下水道を供給できる「和製水メジャー」として国内・海外展開を目指します。
(4)国内の観光資源を目利きにより再興し、地域ブランドの振興や統合リゾート(IR)等の観光施設を整備します。ビジットジャパン計画に対応して、東京、大阪等の大都市への勧誘強化を図り、年間5,000万人の訪日観光客達成を目指します。

6 抜本的な雇用制度改革
(1)働き方の多様性を認め、「無期・直接雇用が普通」という固定観念を改め、労働者派遣法の日雇い派遣の原則禁止を定めた条項等を派遣労働者のニーズに合わせて見直し、女性や高齢者らの多様な就労の機会を確保します。
(2)原則としてすべての労働者(公務員、非正規を含む)に雇用保険を適用します。
(3)同一価値労働・同一待遇(賃金等)の原則を徹底します。
(4)シニア労働制度の柔軟な運用(再雇用、早期退職、時短勤務)や福祉・教育等、シニア世代が活躍できる環境をつくります。
(5)雇用調整助成金を廃止し、その財源を職業訓練の拡充等による再就職支援やセーフティネット構築に振り替えます。
(6)若年層の就業機会を減少させるとともに産業構造の転換を阻害する過度な雇用保護法制を見直します。具体的には、正社員の「整理解雇に関する4要件」を見直し、解雇の際の救済手段として金銭解決を含めたルールを法律で明確化します。
(7)ハローワークと民間人材サービス企業の役割分担と連携を強化します。求職者情報はハローワークで一元管理する一方、人材サービス企業がハローワークのデータベース活用を可能にし、求人企業とのマッチングを促進します。

7 経済成長のためのインフラ整備
(1)東京をアジアの金融センターとすべく、証券・金融・商品等の総合取引所の早期創設を目指します。東京経由で世界のマネーをアジア各国へ提供する体制を構築します。所得税の捕捉は国内に限定します。
(2)経済再生には資金の流れを円滑にすることが重要です。事業性資金についてはリスクに見合った金利設定を可能にし、必要なところに資金が回る仕組を構築します。
(3)航空業界では、競争力向上につながる「空の自由化」(オープンスカイ)を推進します。国際線航空運営体制やハブ機能のあり方等を見直します。
(4)空(空港)と海(港湾)の一体的運用を実現するため、ポートオーソリティを設立します。港のライナー化を促進し、国際物流コストの低減を目指します。同時に、ウォーターフロント開発を進めます。
(5)通信、放送、IT分野で世界的に通用する企業を育成します。規制と裁量行政によって歪められてきた市場、消費者の利便性を軽視してきた高コストな事業者体質を改め、 競争が生まれる環境をつくります。

8 科学技術振興による潜在成長力底上げ
(1)府省を束ね国家戦略として科学技術政策を展開可能にするために現行の「総合科学技術・イノベーション会議」を改組し、予算配分権限等を有する「真の司令塔」を発足させます。
(2)科学技術イノベーションの創出のため、教員の質・指導力の向上等により、理数教育を充実します。同時に、理科離れの防止を図ります。

9 TPP後も持続可能な農林水産業
(1)コメの減反政策(生産調整)については段階的に廃止します。特定の農畜産物に補助金を出す政策誘導型の補助金方式を見直し、農家・農業生産法人が自由に生産する品目・品種を選ベるようにします。
(2)減反政策廃止によるコメの価格適正化(価格下落)によってコメの需要が拡大、輸出増、さらに農家のコスト意識の向上をはかります。当面、価格下落分の補填は、生産者への直接支払い(納税者負担)によって実施、消費者負担となる高価格維持政策は改めます。
(3)農畜産政策の目的を自給率向上から、国民一人あたりの国内農畜産物生産の量と質向上に転換します。耕作地の拡大と反収(単位面積あたりの作物の収穫高)の向上による生産量増加と農畜産品の高付加価値化を農畜産政策の目的とします。畜産物についての飼料の自給率は当該指標に加味いたしません。
(4)株式会社の農業参入を原則自由化し、農地の所有も認めます。ただし、不採算時の撤退リスクを踏まえた制度設計を行います。
(5)ゾーニングを厳格化し、農地の減少を食い止めます。売買目的でない、農機具倉庫や農業の成長産業化に資する施設(小規模な加工施設、カフェ等)の設置のための利用は認めます。
(6)農業を産業としてきちんと捉え、それぞれの地域の実態にあった農業政策を実施します。棚田の維持、農地の集約促進、事業撤退時の補助金導入等の政策はそれぞれの地城で独自に行えるようにします。
(7)農協の地域独占体制を廃するために「農協改革」を断行します。地域農協を脱皮させ、品目別専門農協等の設立を促進し、国内外に対するブランディング・マーケティングや販路拡大の主体となるよう促します。
(8)農協を農家支援部門とその他の保険及び銀行部門に分離します。分離後の農協の保険及び銀行部門は金融庁所管とし、一般金融機関と公正な競争を実施します。
(9)農地の市場価格の透明化を図ります。外部委員が多数を構成する「新農業委員会」の創設や、農地を柔軟に売買できる仕組を導入します。
(10)農業設備や土地改良による過剰債務を持つ農家・農業生産法人の問題解決を支援します。「農業再生委員会」の機能を強化するとともに設置を促進し、経営が困難になった農家・農業生産法人の事業再生や経営資源を他事業者に円滑に継承する支援を行います。
(11)株式会社への漁業権の付与を認め、養殖や栽培漁業の推進、水産加工の新商品開発等を支援します。
(12)優良無花粉・少花粉スギの植栽面積の拡大と花粉を出す樹齢のスギの伐採を強力に推進します。また、里山においてスギを伐採し、コナラ、クヌギ等薪炭やほだぎに活用できる広葉樹の植栽を推進します。
(13)国産材の需要拡大を図るため、公共施設において躯体の木造化、木質系部材を使用した内装、木製什器や窓サッシ等の普及、利用拡大を推進する。さらに建築物や道路等の地盤改良工事への間伐材等木材の利用を推進します。