統一教会「トランプ氏出演に3億円、安倍氏には無償」のワケ

投稿者: | 2023年10月15日

2023年10月12日の毎日新聞の記事に、「旧統一教会関連団体、トランプ氏出演に3億円 安倍氏「無償」なぜ?」という見出しの記事が出ていました。

その記事を引用すると、
「米国のトランプ前大統領が2021~22年、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体「UPF」からビデオ出演3回の講演料として計250万ドル(当時の為替レートで約3億円)を受け取り、ペンス前副大統領も講演1回で55万ドル(約6000万円)の報酬を得ていたことが判明した。毎日新聞は受領を示す米公文書を入手し、日本国内の訴訟資料などと照合して裏付けた。
一方、UPFは21年9月にビデオ出演した安倍晋三元首相について「報酬は払っていない」と主張する。事実なら、安倍氏はなぜ無償で引き受けたのか疑念が浮かぶ。・・・」

この記事は、統一教会関連の集会に出席するのにトランプ氏は報酬をもらい、安倍氏はもらわなかったというのはおかしいという視点で書かれていますが、政治を経験した者から言わせていただくならば、これは疑念でもなんでもありません。

トランプ氏は、資金集め。
安倍氏は、選挙応援へのお礼と今後もよろしくという意思表示。

というだけのことです。
安倍家の場合、祖父の岸信介氏が統一教会の教祖文鮮明を日本に招き入れて関係が始まり、父の安倍晋太郎氏を総理にすべく統一教会挙げて画策していたのは周知の事実です。
もちろん安倍晋三氏本人も陰に陽につながりは保っていたと思いますが、かかわりを深めたのは2006年5月13日に行われた統一教会の合同結婚式の集会に祝電を送ったあたりからでしょう。
彼なりに、思っていたより統一教会の組織力は頼りになると感じたことがあったのではないでしょうか。

そして、実際それが確信に変わったのが、2012年9月の自民党総裁選であったと私はにらんでいます。

この総裁選は、民主党の支持率低迷を横目に自民党の政権復帰が現実味を帯びてきた時期でもあり、国民の関心も高いものがありました。当初は、石破茂氏と石原伸晃氏が有力視され、安倍晋三氏は本命ではありませんでした。

ところが、ふたを開けてみると安倍氏は第1回投票で2位につけ、決選投票で石破氏を破って総裁に就任しています。
安倍氏が第1回投票で2位につけられたのは石原氏に地方票で大差をつけているのが要因です。

議員票は「安倍54票」「石原58票」と拮抗していましたが、地方票(党員換算票)は、「安倍87票(約14万票)」「石原38票(約7万4500票)」であり、この49票(約6万5千票)差が響きました。

安倍氏と統一教会のただならぬ関係が明らかとなってきた現時点から振り返ると、「この総裁選では、安倍氏の地方票に統一教会票が相当入っていたのではないか」という疑念が浮かぶのは私だけではないと思います。
実際、統一教会の関連団体の「世界戦略総合研究所」の小林幸司事務局長は、この総裁選で「安倍氏に投票した」と認めています。

自民党総裁選の投票結果(1回目)
 国会議員(197)地方票(党員算定票300)合計
石破 茂34165199
安倍晋三5487141
石原伸晃583896
町村信孝2734
林 芳正2427
(注)敬称略。過半数は249票

自民党総裁選の決選投票結果(2回目)
安倍晋三108
石破 茂89
(注)敬称略。国会議員票のみ。無効票1票

その後も、
2013年・2019年の参議院選挙での北村経夫氏
2016年の参議院選挙での宮島喜文氏
2022年の参議院選挙での井上義之氏
など安倍派の勢力拡大のために統一教会が強力に支援していたことが伺えます。
何より、統一教会友好団体トップの梶栗正義氏は、2021年9月に安倍氏が統一教会関連団体のイベントにビデオメッセージを寄せた背景について「この8年弱の政権下にあって、6度の国政選挙において私たちが示した誠意というものもちゃんと本人が記憶していた」と述べているのですから。
ちなみに梶栗氏は、2010年8月3日、日本統一教会の元会長の小山田秀生とともに安倍氏の国会事務所を訪れた安倍氏と初めて会ったとされています。

以上の経緯を踏まえれば、
安倍氏が、2012年の自民党総裁選への意欲をたぎらせていた時期に、なんとしても勝つために統一教会に支援を依頼したのでしょう。
そしてその総裁選の1回目の投票で2位につけられたのは、統一教会による地方票の上乗せ分のおかげと感じ、そしてその後の6度の国政選挙でもそれを実感したが故に、今後の支援も期待してビデオメッセージを無償で送った。。

お世話になった方が何かイベントを催す際に、政治家としてお祝いのメッセージを無償で送るというのは、全国どこでも普通に行われていることですが、安倍氏の場合、その相手がよろしくなかったといえます。

かつて自民党の副総裁を務めた大野伴睦氏「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちればただの人だ」と述べています。
選挙では勝たなければならないから利用できるものは何でも利用するという「選挙至上主義」は、民主主義国家では否定されるものではありませんが、もっと統一教会について一歩引いて冷静に考えを深める時期があってもよかったとも思います。
そもそも反日勢力と安倍氏の政治的な方向性が合致するはずがないのですから。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


*