統一教会に対する解散命令請求

投稿者: | 2023年10月13日

まずもって、政府が統一教会対して解散命令請求を行うことを正式に決定したことは評価したいと思います。
裁判所に解散を請求するということは、裁判所が解散の判断をしやすい状況が取れたということでもあり、多少の時間はかかるかもしれませんが、解散は確実でしょう。

これまでに、「組織性」「継続性」「悪質性」という3要件を満たせば解散請求できるという基準を設け、質問権を行使し、その裏付けを入手するために様々に取り組んできた文化庁の関係者にも敬意を表します。

しかしながら、これにて解決とはいかないのが、この問題の根深さです。
私なりに整理しますと、

1,解散とは単に宗教法人格のはく奪にすぎませんので、活動はこれまでと同様に可能です。
したがって、解散によりマインドコントロールが解けて統一教会の信者がいなくなるわけではありませんし、彼らの活動がゼロになるわけでもないので、これからも「正体隠しの勧誘による多額献金被害」などもなくならないでしょう。

2,解散命令請求によって、「これは自分らに与えられた試練であるので、乗り越えなければならない。まだまだ我々の努力が足らないからガンバロー」などと煽られて内部の求心力が高まりかねず、信者の脱会がより難しくなる懸念もあります。

3,統一教会内の内部対立が進みより小さな集団となって監視が及ばなくなり、悪質化するおそれさえあります。
現時点でも、いくつもの分派ができており、少なくとも10の分派が現在活動中なのです。

4,解散で一件落着という雰囲気になり、世間と統一教会信者の乖離が進み、二世問題や被害者救済などの社会的サポートに関心が及ばなくなる懸念もあります。

5,解散により宗教法人格がはく奪されますので、必要な法整備ができれば、統一教会を宗教ではなくカルト認定しやすくなることが期待できます。

6,統一教会被害者弁連は、最高裁で確定するまでの間、統一教会による財産隠匿が行われることを懸念していますが、今のところ自民党にそれを防ぐ特別措置法を制定する動きはなく、「解散したが被害者への補償はできず」という事態になりかねない危惧があります。

の6つの視点に集約できます。

また、かねがね申し上げているとおり、マスコミによるこの統一教会問題報道の足らない点は「宗教とカルトの分離」「支配者層と末端信者層の分離」することの重要性が理解できていないということです。

今回の解散請求でも明らかなように、社会的な常識からかけ離れた違法な取り組みを組織的にしているのですから、統一教会は宗教ではなく、カルトと分類されるべきものでしょう。
宗教法人格がなくなるのですから尚更です。

日本は、そもそもが八百万の神の国であり、また戦前の政府による宗教弾圧の反省もあって、今や世界に類を見ないほど宗教に寛容です。その点は是とすべきものですが、行き過ぎるとカルトの跋扈を許してしまいかねない側面があるということには注意を払うべきでしょう。
したがって、国として宗教とカルトを分離するための基準を、フランスの反セクト法なども参考にしつつ、立法していく必要があるのではないでしょうか。

そして、組織的かつ継続的に悪質な活動をさせているのは、統一教会の支配者層です。
末端信者は完全にマインドコントロールされて、駒として使われているにすぎません。
だからといって、末端信者の違法行為を許容することはできませんが、彼らはもともとは真面目に社会生活を営んできた日本人であり、「言葉によるもうひとつ拉致」被害者でもあるのですから、彼らは救出すべき対象として位置づけた報道があってもいいと思うのですが、残念ながらそのような記事は見たことがありません。

最近のマスコミについては、ジャニーズへの忖度で性加害事件を報道しなかったことが問題視されていますが、是非その反省に立ち、この問題については統一教会シンパの政治家に忖度せず、法律を含めた社会的な環境整備を国を挙げてすべきという視点から、より継続的で深堀りした報道をしてほしいものです。

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