日銀総裁講演

日本銀行の白川方明総裁の講演を聞いた。
どこの国でも通貨の番人といわれる中央銀行総裁の発言は注目される。
それゆえ、発言内容もあらかじめ吟味されるが故に慎重な言い回しに終始することが多い。
今回も例外ではなかった。
以下要約すると、
●先進国と発展途上国の現状
発展途上国の経済が好調な理由として
1、生活水準の向上による需要の拡大(社会インフラの整備、自動車及び電気製品の需要拡大)
2、積極的な景気対策(いわゆるバランスシート調整の必要なし)
3、リスクテイク資金の大量流入(不動産価格の上昇などによる経済成長の後押し)。
途上国の中には、加熱する経済の引き締めのために政策金利の引き上げなど政策金利の見直しで対応をとる国もでてきた。
一方で、先進国ではバランスシート調整に苦しんでいる。
先進国では民間の債務を肩代わりしているため政府債務残高は著しく増大した。
必然的に、財政赤字の問題に関心が寄せられている(そうした中、FRBの通貨信任確保は評価できる)。
一連の先進国の中央銀行による金融緩和政策は自国内よりは新興国で影響を及ぼされている。
今後は、先進国の景気回復への取り組みと新興国の景気の過熱感に対して注視していかなければならない。
また、わが国の景気状況については製造業を中心に景気持ち直しの動きがある。設備投資も下げ止まりから増加へ転じていくものと思われる。
●日銀の金融政策
金融危機の急性症状とバランスシート調整問題の慢性症状への対応のふたつ。
金融危機への対応は終わった。⇒現在は経済を持続的に成長させるためにどうすべきかという視点に移っている。
●デフレ問題について
物価の下落圧力はある程度長い期間にわたって続くものと思われる。
日本の物価上昇率は、なぜ他の先進国に比べて低いのか?
理由は3つ。
1、流通の合理化と規制緩和による生産性の上昇。
2、90年代後半以降、賃金が持続的に引き下がったことによる下押し圧力。
3、少子高齢化によって将来の成長期待が低下している。⇒重要
いずれにしろ根本原因は需要不足(デフレギャップ)。
そのデフレ対策に関しては、これまで中央銀行がバランスシートを拡張すれば止まるという考え方があった。
しかし今やそれをしてもうまくいかない。
ゆるやかではあるが、趨勢的な成長期待を高めることが大事。
1、グローバル需要
 新興国 途上国の需要の取り込み
 今の中国は1960年代の日本の水準に相当する。
 外需と内需と捉えるべきではない。
2、潜在的な需要に対応する体制を整え、財やサービスを提供すること
 潜在的な需要を捉え、現実の需要にしていくこと。
 廃業率や開業率は5%程度。経済の新陳代謝率が低い。ニーズの高い方向に円滑に移行できる仕組みをつくる事が大事。
日本経済の強みを強みとして認識していない。将来の成長期待が低下し、気分としての悲観主義が横行していることは危惧される。
例えば中国やインドの成長ペースがこのまま続けば、自動車の数が倍増する。そうすれば環境技術の重要性が益々大事になる。これをチャンスと捉えて需要を広げていくべき。