競馬場跡地の日除けスペースを、市の持ち出しゼロで建設します。

投稿者: | 2012年12月27日

平成24年12月19日の足利市議会12月議会最終日に、足利市が事業主体となったメガソーラー事業に関する議案の承認を頂くことができました。

競馬場跡地の日除け付きメガソーラー

これは、今年度スタートした足利市民総発電所構想の一環として、足利市が事業主体となったメガソーラー事業を行うことにより、ちょっと欲張りなのですが、競馬場跡地の芝生広場に市の持ち出しゼロで広大な日除けスペースを用意し、また合わせて売電収入も得ようとするものです。
また、20年間42円/kWhの電力の買い取り価格が設定されている平成25年3月までに必要な手続きを行う必要がありましたので、12月議会に議案として上程しました。

そうした中で、市議会全員協議会や12月議会で、いくつか反対意見がありましたので、改めてそれに対する私の考え方を申し述べます。

まず、主な反対意見は、以下の2つに集約できると思います。

Ⅰ、電力自由化の時代に、20年間42円/kWhの買い取り価格が続くとは限らないのではないか。
Ⅱ、なぜ市が事業主体となってメガソーラー事業を行うのか?足利市が既に全国に先駆けて行っているメガソーラー事業者への公共施設の屋根貸しと同様に、土地を貸せばいいではないか。

まずⅠについてですが、これは基本的に誤解に基づく指摘だと思います。
今年度の契約分については、国が定めた電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法に基づき、太陽光発電については電気事業者が20年間42円/kWhで買い取ることが義務付けられています。
また、今後進展するであろう電力自由化により、家庭などのユーザー側が支払う電力料金は安くなりますが、それと電気事業者が20年間42円/kWhで買い取ることとは別物です。

次にⅡについてですが、ご指摘の通り、足利市は足利市民総発電所構想の一環として全国に先駆けて、公共施設の屋根をメガソーラー事業者に貸し出す事業を始めました。それにより、今年度契約分だけでも年間約500万円の収入が足利市に入ることになっています。
そもそもこの事業を始めることになったきっかけですが、当初は単純に市所有の公共施設の屋根に、市の発注する公共事業として太陽光パネルを敷設して、売電収入を得ればいいと考えました。
しかしながら、市が太陽光パネルを設置するには、国が定めた工事基準単価で事業を行わなければならず、どうしても割高になってしまい、投資対効果という点でとても採算に合わないことがわかりました。
そこで、熟議を重ねた結果、メガソーラー事業者に公共施設の屋根を貸して、足利市は賃料収入を得るという施策をまとめ、全国に先駆けて表明しました。

そうした中、お隣の太田市が昨年7月に市所有の工業団地内の一角を対象に、公募型プロポーザルによるリース方式を採用した発電事業を開始したところ、ひと月当たり約800万円の売電収入を得ているというニュースが伝わってきました。

このリース方式は、ちょうど時期的に並行して検討していた新しい給食調理場建設に当たり足利市が採用したリース方式とは中身は少し異なりますが、基本的に、PPP(Public Private Partnership)的な考え方を取り入れ、国の定めた工事基準単価にとらわれずに、効率のいい事業展開をするという点で共通しています。

そこで、足利市として、この太田市のリース方式を応用して、競馬場跡地の一部と太田市市場町に水源地として足利市が所有する土地に太陽光パネルを敷設して得られる売電収入から、かねてより市民から要望のあった競馬場跡地の広大な日除けスペースの建設費を賄い、さらに売電収入が市に入るようなスキームを構築しました。

そして、過日公募したところ、3社からの応募があり、結果として条件を満たしたところが1社だけでしたので、その企業の提案を厳正に審査しました。その結果、市の持ち出しがゼロで競馬場跡地に広大な日除けスペースができ、なおかつ最低でも20年間で1,400万円余の売電収入が足利市に入ることになりました(この額につきましては、太田市の売電状況を踏まえると、今後もっと大きな売電収入になることが見込めます)。
ちなみに、広大な日除けスペースを、市が建設する場合には約2億円もの費用を捻出する必要があります。

もちろん、土地貸しも検討しましたが、結論から申し上げれば、公表されている路線価をベースに算出された単価では、とても採算に合わないことがはっきりしていましたので採用しませんでした。
具体的には、全国的に民間レベルで土地を借りてメガソーラー事業が展開されている実情を調べたところ、1平米当たり100円~200円が相場とのことでした。
今回、対象としている競馬場跡地の一部と太田市市場に足利市が所有する水源地として保持している土地の平米当たりの単価は、公表されている路線価をベースに算出すると、それぞれ平米約550円、平米約1,050円となり、その値段で市がメガソーラー事業者に貸し出してもどこも関心を示さないのは明らかでした。

ご案内の通り、競馬場跡地は、足利赤十字病院、五十部運動公園など、市内外から大勢の方が訪れる場所になっています。
その広々とした芝生広場に、ソーラーパネルを載せた日除け施設が約300mに渡って並ぶ壮観な風景は、そこに訪れる方たちに、環境に配慮する未来の足利市のイメージをPRする絶好の場所ともなると考えています。

以上、今回の事業は、市よし、市民よし、企業よしの三方得の結果となり、足利市にとって本当によかったと思っています。

改めて、ご賛同頂いた議員の皆様に心から感謝申し上げます。

毎日新聞記事 20130109

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


*