6、保健福祉施策(2005年)

投稿者: | 2007年9月28日

福祉を語るときに私は2つの点をいつも念頭において考えていこうと思っています。
ひとつは「これは福祉として必要だ」というと誰もそれに異を唱えることはないということです。
そしてもうひとつは福祉施策を一端はじめてしまうとやめることは極めて難しいということです。
そうした福祉ならではの宿命を踏まえた上で、大きく3つの項目に分けて順次取り上げたいと思います。
(1)高齢者福祉
介護保険制度は地方分権のさきがけ
高齢者福祉といって最初に思い浮かぶのが介護保険制度です。
申し上げるまでもなく介護保険制度とは加入者自身が助け合いの精神に立って保険料を負担し、だれかが介護が必要になったときにサービスを提供する仕組みです。
また、その費用は保険料で半分、国や自治体の公費で半分を負担しております。
利用する際の手続き方法につきましては、被保険者である利用者が市役所の窓口で申請をしていただくことになります(代理でも可)。それを受けて認定調査がなされ、また主治医の意見書が提出されて介護認定審査会による審査判定が行われます。そこで、要介護度が決定され、被保険者が必要に応じて在宅サービスの利用や特別養護老人ホームなどへの入所申し込みをする流れとなります。サービスを受ける際には、1割負担ということになります。
保険料の徴収方法は40歳以上の全ての人が対象となり、40歳以上65歳未満のいわゆる2号被保険者は、保険料については所得に応じて全国一律で決められ、それぞれの医療保険に加算して徴収されます。
ただし、社会保険に加入しているサラリーマン等は社会保険と同様に保険料の半額を会社が負担します。
介護保険の事業主体はあくまでも市町村です。ですから、当然のことながら介護保険料が原則市町村ごとに異なるということになります。端的に申し上げれば、介護保険料の滞納率が低く、施設が比較的少なく在宅サービス中心の展開を促している自治体の方が保険料は安く、その逆であれば保険料は割高ということになります。
従ってその保険料とサービスの質の問題といいますのは、それぞれの自治体の方針の違いにより、それが結果として保険料に反映される仕組みとなっています。
その意味では、自治体の高齢者福祉における役割がより一層重要な時代となりました。
(2)障害者福祉
障害者が暮らしやすい日本一の街
足利にいわゆる障害者福祉施設がいくつあるかご存知でしょうか。
なんと32もあるのです(一覧表参照)
1、 身体障害者授産施設
足利愛光園 山川町782
1、 身体障害者福祉工場
足利愛光園稲岡工場 稲岡町500
2、 知的障害者更正施設
かしわ荘 葉鹿町2245
    緑ヶ丘育成園 葉鹿町2274
    こころみ学園 田島町616
    ルンビニー園 樺崎町1706
    デイアクティビティセンター銀河 利保町49-4
3、 知的障害者授産施設
    栃の葉荘  葉鹿町2227
    やまゆり学園  大沼田町1715
    きたざと学園  利保町49-4
4、 知的障害者グループホーム
    石井荘(栃の葉荘) 葉鹿町271-1
    あけぼの荘(こころみ学園) 田島町620
    あゆみ荘(きたざと学園)  元学町830-13
    三井荘(こころみ学園) 大町491-1
    よしみ荘(誠和寮)  助戸1丁目75
    あさひ荘(こころみ学園) 大町491-1
    みょうぎ荘(やまゆり学園) 大沼田町487-2
    萩原荘(栃の葉荘) 葉鹿町2-6-1
    うちこし荘(こころみ学園) 千歳町79
5、 知的障害者通勤寮
若葉荘 葉鹿町2232
    誠和寮 大月町650-2
6、 精神障害者生活訓練施設(援護寮)
両崖ホーム 本城1丁目4129
7、 精神障害者授産施設
恵愛センター  本城1丁目1549
8、 精神障害者小規模作業所
足利ひまわり共同作業所 東砂原後町1072
    足利第2ひまわり共同作業所 今福町705-2
9、精神障害者福祉ホーム
ウグイス寮  本城1丁目1549
10、精神障害者グループホーム
恵愛会グループホーム 本城1丁目4128
11、重症心身障害児施設
足利の森足利病院  大沼田町615
12、障害児デイサービスセンター
足利市母子通園ホーム 東砂原後町1072
13、在宅重度心身障害者デイケア
足利市デイケアセンター 東砂原後町1072
14、盲人ホーム
足利市盲人ホーム 相生町385
15、児童養護施設
イースタービレッジ 小俣町3294-1
まさに足利市は障害者福祉のまちなのです。
またこれ以外でも、福祉の趣の強い施設(含む学校)はというと、
泗水学園
足利養護学校
足利中央養護学校
があります。
こうした現実を踏まえて、それをまちの特色としてもっとPRをしつつ、そうした分野での最先端のまちにすることを足利の柱のひとつに添えてもいいのではないでしょうか。
(3) 児童福祉
(再掲する)
先の少子化対策の項で触れました
(4) 国民健康保険税
一般的に自営業などの個人事業主の方々が加入する医療保険のことを、国民健康保険といい、加入している世帯の資産や収入の状況、市民一人当たり(均等割)そして一世帯当たり(平等割)での負担などを勘案して、世帯に課せられる税金のことを指します。
近年この徴収が思いのほか滞っており、平成14年度末では滞納繰越総額は30億円強です。またこれに加えて、平成15年度は不能欠損額(行方不明などで徴収不可能なもの)が8900万円余強計上されました。
虎の子の財政調整基金*からは平成14年度で8億円近くも繰り出し、残りは3億円弱となり、15年度も繰り出した結果、基金をほぼ食べつくしてしまいました。従って、今後この財政調整基金で急場をしのぐというのも難しくなります。
そしてまた前期高齢者制度が平成14年10月からスタートし、老人保健の被保険者年齢を段階的に75歳にまで引き上げるために、満70歳になった方は5年間老人保健に移行できないということになり、その期間は国保を適用させるということになります。その分益々国保の負担が増えるということになり、足利市の場合毎年満70歳の方が年間で1500人にものぼり、それぞれの方が平均60万円(年間)医療費を使っており、細かく計算しますとその結果17億円の負担増、国の負担分を差し引きますと国保会計としては8億5千万円分の負担増ということになります。
さらに収納率の悪化もこの問題を複雑にさせています。現行制度の下では悪質でない限り保険税を納めなくても(納められなくても)、3割負担で病院にかかることができますから、そうした人に適用された医療費の保険請求の7割分は、結局保険税などで穴埋めすることになるのです。
要するに、納めた人の保険税は、納めた人だけではなく納めない人に対しても使われているのです。最近では、納めない人に対しては保険証の代わりに資格証明書の発行を推進しているようですが、改善効果は限定的です。
その結果、残念なことに保険税の値上げという話が出てくるのです。
最近では既に平成14年4月に、均等割で4800円値上げして16800円に、また平等割で4800円値上げして18000円(いずれも年間)にしました。さらに平成16年4月から均等割で7200円値上げして24000円に、また平等割では8400円値上げして、26400円にしました。
税を納めている人にさらに負担を強いる形です。なにか取りやすいところから取る安易な手法という印象がぬぐえません。
もちろん本当の意味での社会的弱者の方への医療サービスに影響が出ることは避けなければなりませんが、高齢化が進展し医療費がかさみ、そして滞納者の分の負担がかさみ、結果的に保険税をあげる、さらに基金を取り崩すというようなサイクルはいつまでも続けられることではありません。
世界に誇る国民皆保険制度と聞こえのいいようなことをいっても、実態がこのようでは何をかいわんやです。
戦後、国がこうした制度をつくり、自治体に押し付けた上に、制度の改革も十分に行わず、補助金を減らした結果、全国的に地方自治体の共通の問題として顕在化してしまったわけですから、その責任上国民健康保険の健全運営に向けて国として抜本的な見直し策を提示していただく必要があります。
*財政調整基金:自治体における年度間の財源の不均衡を調整するための基金のこと。
また自治体におきましても、予防医療の推進(「健康足利21」)、収納率のアップ、資格証発行の一層の区分、レセプト業務の効率化などできることをしっかりと行ない評価される結果をだしていくことが求められます。
それにはまず、国も地方もこれまでの経緯や今後の見通しなどを納税者にきっちりと情報公開することから始めねばなりません。自己負担はどのような見通しになるか、それに伴い医療費など社会保障の中身はどうなるか、税制のあり方はどうなるかなどそれぞれわかりやすく例示していただきたいものです。
一般に国保に限らず税金が足らないと、どうしても国債(地方でいえば地方債)を発行し借金をして収支のバランスを取るという手法がとられがちです。
申し上げるまでもなく借金をするということは将来世代が払う税を増やしていくということでもあります。
国保でも完納している人に負担を強い、借金でも将来世代に負担を強いている・・・。そのような取りやすいところから取るという安易な手法を続けていると、遠からず大変なしっぺ返しをもらうことになります。
何より「税金を納めなくても行政サービスは全て平等」といった正直者が報われないような、がんばって税を納めている人が報われないような制度は、真の意味での弱者の方に十分配慮しながら、改めていく必要があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


*