3、道路と鉄道と下水道そして都市計画(2005年)

投稿者: | 2007年9月28日

(1) 都市計画道路鹿島橋山下線(鹿島橋通り)とJRの立体交差
北関東自動車道の全線開通を目指して、ようやく渡良瀬川にかかる橋脚部の工事がはじまりました。
その自動車道の整備とともに、足利市にとって極めて重要な意味を持つのが鹿島橋山下線(鹿島橋通り)です。
現在の市の計画では、鹿島橋を北へむかって旧50号にぶつかるはるか手前で地下に入り、旧50号とJR両毛線の下をくぐって立体交差をして山下町側に抜ける構造になっております。しかしながらこれでは旧50号を利用する方にとっては、五十部から葉鹿方面に向かう際の右折が、または葉鹿方面から五十部方面に向かう際の左折が立体交差するところでできず、旧50号を利用する方にとっての利便性に寄与しているとは言いがたいものがあります。
また、山前地区は、旧50号とJR両毛線が近すぎるが故に、通行しづらく危険性の高い2箇所の踏み切りの問題を抜本的に解決する必要があります。
そしてさらには、山前駅。
ロータリーも満足につくれないぐらい駅前のスペースが狭く、利用者の利便性が十分に図られているとは言いがたいものがあります。
そうした山前地区のJRにまつわる様々な問題を踏まえて考えたときに、現状のようなJRの下を掘って南北に抜ける道路を作るよりは、JRそのものを高架させる方がベターであります。
(2)渡良瀬川堤防道路
これも図で説明しますと、渡良瀬川の左右両岸いずれも緑橋と鹿島橋の取り付け部を結ぶ道路はありません。
しかしながら、北関東自動車道太田インターチェンジからの市内中心部へのアクセスを考えれば、その堤防道路を作る価値は十分にあると思います。
(3)都市計画道路、7丁目大前線
これまで市としては、旧西小学校の前の通りから三宝院のわきを通りそこからトンネルで抜け、今福からさらにトンネルを経て五十部に抜ける道路が計画されていましたが、それを図の通りに、本城から西宮を経て今福そして五十部に抜ける形で計画変更するべく検討がなされた経緯があります。
しかしながらそれでは、新規でトンネルを3つも作ることになり膨大な事業費がかかります。さらにはトンネルを抜けたときの交差点に信号をつけなければならず自動車が信号待ちでトンネルの中に列を連ねるというのは、道路通行上好ましいものではありません。
また、投資対効果という合理性や差し迫った必要性があるならともかく、特に自然環境の良さを好んで移り住んだ西宮地区の住民に理解を得るのは、難しいと言わざるを得ません。
要するに、これでは何のための計画変更かさっぱりわからないのです。
そこで私は、対案として五十部から月谷に抜ける、足利の外環状線的な位置づけで計画変更したらどうかと申し上げています。
自動車社会になって以降、都市における道路に関しては、まちの中心部を抜ける幹線道路の重要性と同時に、まちの外周を回る環状線の重要性が認識され、全国主要都市においてその整備が進められてきました。
県内では、宇都宮、佐野、小山などでそれが顕著であります。
足利もその意味では、いずれ都市計画道路の変更をするのであれば、私が申し上げるような形で外環状線にしてしまえばいいのではなかろうかと思うのですがいかがでしょうか。
(4)群馬県側とのアクセス
もうひとつ、道路行政について触れさせていただきます。
ご承知の通り足利市は、市境の半分を群馬県側と接しています。それだけ歴史的にも地理的にもまた経済的にも群馬県側とはつながりが深いものがあります。
その一方で、いわゆる都市計画道路の計画は二桁国道の幹線道路を除けば都道府県単位でなされるのが一般的であって栃木県・群馬県両県にまたがる形では都市計画決定がなされず、結果として足利と群馬県側をまたぐような道路整備は思いのほか進みませんでした。西から順次指摘しますと、まずは小俣地区の旧50号線の県境の橋であります。
境橋といいますが、これは昭和6年に建設された橋ですが幅員が狭く、いずれ架け替えの必要性があります。しかしその話は一部では出されるものの一向に計画の遡上に上ってきません。おそらく、足利市と桐生市そして栃木県と群馬県の4者のからむ話ですから、行政圏が違うためなんとなく先送りされてきたのではないかとかんぐりたくもなります。
少なくとも仮に同じ行政圏内の橋であったならこれほど話が進まないということにはならないのではないかと思います。
同様に、葉鹿橋についても同じようなことがいえます。最近ようやく架け替えがなされ、随分と使い勝手がよくなり何よりでありますが、それまでの橋は群馬県側の方が広く栃木県側の方が狭いといういびつな橋でありまして、50年間?そのような状態が続いていました。従いましてその架け替えの必要性はかねてより指摘されていましたが、これも結局栃木県と群馬県にまたがる橋であったがゆえに、ひとつ余計な根回しをしなければならずロスタイムが生じてしまったという感を強く持ちます。
次に鹿島橋通りはどうでしょうか。
足利から鹿島橋を渡って南に下りますと片側一車線のまま50号バイパスに当たります。それを越えますときれいに整備された片側二車線の道路になり、その違いはあまりにも対照的です。
そのそばには北関東自動車道の太田インターチェンジが予定されているのですから、本来50号バイパスから北側も渡良瀬川をはさんで足利市山前地区という住宅密集地が構えているのですから片側二車線の道路として整備されてもおかしくないのですが、鹿島橋を境に栃木県と群馬県の県境があるが故に、連携がうまくとれず、結果として都市計画道路としての計画決定をすることができないのです。
●県境ゆえの不利益の解消のため栃木県が群馬県に補助金を!
50号バイパスから北側は群馬県にとってはとかげのしっぽのような感覚なのかもしれませんが、足利市にとっては太田インターチェンジへの極めて大事な道路です。群馬県の意向はどうかわかりませんが、場合によっては鹿島橋南から50号バイパス北側の4車線化実現のために、栃木県民である足利市民の利益を鑑みて、栃木県が群馬県に補助金を出してもいいのではないでしょうか。
そのくらい発想を変えた大胆な提言をしなければ、県境をまたぐ道路の整備は遅々として進まないのではないかという危機感を覚えます。
これは、国道407号線、足利千代田線、国道293号線の南下路線などについても同様のことがいえます。
特に、国道407号線(足利太田街道)と122号線の交差点は、太田方面に向かう際に常時渋滞に見舞われているところであり、立体交差の必要性は論を待ちません。
ですから足利市民や太田市の足利よりの住民の方々にとっては優先順位の高い案件なのですが、太田市全体そして群馬県全体を見渡すとどうもそうではなくなってしまうようで、こうした事態を打開するためには思い切って、その立体交差のために栃木県が補助金を出すということも検討していいのではないかと思います。
ここで申し上げたいのは、これまで行政圏の違いにより、足利の場合群馬県側とのアクセス道路の整備が十分にできず、ことのほか不利益を被ってきたわけです。それと比べて、同じ群馬県内の前橋市と高崎市はなんと片側3車線の広い道路が走っているではありませんか。足利市と太田市の距離より、前橋市と高崎市の距離のほうが長いのに、同一県内ですとそういうことができてしまうのであります。
この弊害を改めることが、足利にとって極めて重要な課題です。
●公共事業についてひとこと
「その施設は私が建てた」とか「あの道路は私がやった」など、とりわけ選挙中などに誇らしげに言う政治家がいます。
同業者としてそう言いたくなる気持ちはわかりますが、これは申し上げるまでもなく「あの道路はみなさんの税金を使ってやらせていただいた」という言い方が正確です。
また、行政の行う事業を再評価するという視点からこのことを考えますと、「あれは私がやった」よりむしろ「あれをやらせていただいた結果、納税者にこれこれこういうメリットが提供できている」ということを語るべきだと思いますし、また一方で、デメリットが生じているのであれば「今後どのようにそれを反面教師にして生かしていくか」という話をするべきと思います。
これがいわゆる「事業再評価システム」の中の大きな柱である説明責任といわれているものです。そこではもちろん政治家の手柄は二の次になります。
また財源の面から言っても、国・地方問わず巨額の借金を抱えているわけですから、より一層の効率的な事業展開を真剣に考えなければなりません。従って、どのような事業であれ「あれは私がやった」で済まされる話ではないのです。
まさにその意味で、「あれは私がやった」という手柄告知型の政治の虚を見抜き、「何がこれからの政治に求められているのか」という視点から、自のフィルターを通して冷静に判断をする心眼を磨いていきたいと思っています。
(5)下水道
●下水道
足利市の下水道事業は、近年普及率の全国平均達成を目標に精力的にはじまりました。
ちょうどバブル崩壊後の景気低迷を受けて、政府は何度となくケインズよろしく需要喚起策を講じ、公共事業の積み増しを行ってきましたので、そうした流れを受けて足利市は県内平均より大幅に後れを取っていた下水道普及率を上げることを錦の御旗に、国庫補助事業である下水道事業の大幅な積み増しを一気に行ったのであります。
その結果、普及率は上がったものの、様々な副作用も発生しました。
そのひとつが、累積債務の増加です。
足利市の借金にあたる市債(借入金)のうち、一般会計分の地方債残高は、ここ数年の歳出抑制の努力により、伸びが鈍化していますが、公共下水道事業分については、わずか5年で2倍に達しております。
結果的に、平成12年度末の段階で一般会計と特別会計を合わせた市債残高は、約1200億円を数えるに至りました。
企業の売上に相当する市の歳入トータルが約1000億円程度ですから、国からの交付税措置があり市の負担は実質軽減されるとはいえ、単純にみれば足利市は売上より借金が約2割も多い企業ともいえるわけです。
下水道事業は、本来受益者負担金や使用料によって収支が図られるべきにもかかわらず、収入におけるこれらの比率があまり伸びていません。
その分、税金でその赤字の穴埋めをすることになるのです。こうした状況は一刻も早く改めていく必要があります。
生活環境の改善や土地の価値の増加などを考えれば、下水道事業は合併浄化槽の導入と並んで必要なものではありますが、これらは財政が健全に運営されればこそできる話であります。
(6)景観条例の制定を
●風景が語るまち
河南地区にあるホテルの最上階のレストランから渡良瀬川をはさんで市内の中心部を眺めると、その美しさに圧倒されます。
足利はよく小京都といわれますが、特に河北地区は京都のように景観条例を整備して、魅力ある景観形成に努めるべきと思います。
具体的には、建物の高さはここまでといった一定の基準を設けた形にすることが望ましいのではないかと思います。

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