「目標、谷川岳1000回」
と赤いシャツに書いて、谷川岳の西黒尾根を登っている方と出会ったのは、私が大学3年の時、今から20年も前だ。
当時私は、社会人の山岳会に所属しており、ロッククライミングや冬山登山といった山登りに情熱を燃やしていた。
谷川岳というのは、山屋にとっていわずと知れたあこがれの聖地であり、特に一の倉沢には特別の思い入れがある。
これまでに700人もの岳人の命を飲み込んできた「魔の山」とも称された一面もあるが、それだけ人を引き付ける魅力があるということなのだ。
今日の日経の私の履歴書の隣に、その時に出会った人の記事が載っていた。
「谷川岳3000回」
いやはや、あの人は延々と谷川岳を登りつめてきたのか!
そう思うと、畏敬に似た気持ちが自然と湧き出てきた。
当時は、すれ違った登山客が「目標、谷川岳1000回」という胸のところの文字を見た時に失笑するようなことがあったが、今はそんな人はおるまい。
谷川岳を3000回も登れる人なんているわけがない。
幾多の著名なアルピニストと全く引けを取らない輝かしい足あとを、その人は残してくださっている。
まさに「継続は力なり」だ。
何か勇気をいただいた気がする。
実は私も、谷川で会いました。
私が縦走で疲れてへたばっているところを励ましていただきました。
そのときは、こんな老夫婦に励まされるなんて悔しい思いでしたが、まだ続けているとは・・・偉大です。
世の中にはすごい人がいるもんです。