平成11年度、平成14年度、平成17年度の区画整理事業に伴う公金不正支出事件について

投稿者: | 2011年8月27日

先の消防職員の不祥事を受け、預金通帳等の全庁的な調査を徹底して行ったところ、平成23年6月上旬、都市建設部で管理されていた地権者名義の預金通帳と印鑑の存在が明らかになりました。そこで、関係書類等を精査した結果、組織的と思量される不適正な公金の支出があったことが判明しました。
”組織的”という点で大変深刻な事態でありますので、改めて市民の皆様に謹んでお詫び申し上げますと共に、その概要について、既に足利市のホームページにも掲載されていますが、当HPにおきましても以下の通り報告させていただきます。

【参考資料】
●広報あしかがみ平成23年12月号(平成11年度、14年度、17年度公金不正支出事件のまとめ)
●土地区画整理事業における不適正な公金支出(平成11年度、平成14年度、平成17年度)に関する調査結果報告の詳細資料
●参考相関図
土地区画整理事業の公金不正支出等事件(平成11年度、平成14年度、 平成17年度)における現職職員を対象とした庁内調査結果

1.平成11年度不正支出事件

(1) 当時の足利市の方針として、毛野地区土地区画整理事業の換地処分を平成10年6月中に完了することにしていた。

(2) しかし、区画整理事業内の市民甲(以下、甲)の仮換地上にある市民乙(以下、乙)所有の建物移転に関する交渉は難航し、未処理のまま残った。

(3) そうした状況であったにも関わらず、足利市は当初の方針どおり、区画整理が完了したとして平成10年6月8日に栃木県に対し換地処分完了の届け出を提出し、平成10年6月19日に栃木県により換地処分の公告が行われ、書類上は区画整理事業が完了した形になった。

(4) 平成10年6月19日本件土地区画整理事業換地処分完了後も、区画整理課は、平成10年度中には乙の建物移転工事を完了させるべく努力したが、結局、平成10年度中も建物移転工事は行われなかった。

(5) 区画整理課としては、乙に対する補償金は、予算措置上、平成10年度中に執行しなければ、従来から予算を繰り越してきた経緯、及び本件土地区画整理事業に 関する換地処分の公告が、平成10年6月19日に行われた以後、乙関係の補償金を予算計上することは、本件土地区画整理事業が一部未処理のまま完了させた ことが表面化することになることから、そのようなことは何としても回避するとともに、乙に対する補償金の確保に関する方策を検討していた。

(6) 区画整理課は、乙に対する補償金は、出納閉鎖の平成11年5月末までに執行しなければ、その後、この補償金を予算化することが困難であること、当時、収入役預かりという従来から取られていた方法が取れなくなっていたこと、乙が建物移転工事を行った場合、予備費からの支出が可能か等、関係部署に問い合わせる等して種々の方策を検討し、平成11年3月30日付の「乙の予算措置について」と題する文書として、検討結果を記載した。

(7) 区画整理課は、平成11年度に入ってこの補償金について出納閉鎖の平成11年5月末までにはこの予算処理の結論を出さねばならず、課内で検討した結果、今後、乙が建物移転工事に着手した場合に備えてこの補償金、金1145万6000円を確保しておく必要があると判断し、平成11年5月19日付けで乙に無断で乙の銀行口座を開設し、平成10年度の出納整理期間(年度末から2か月間)である平成11年5月28日に、移ってもいない建物移転に関する補償費を振り込む手続きをした。

(8) 平成11年5月28日、区画整理課から振り込まれた金1145万6000円の記帳手続を行った後、都市開発部長、及び区画整理課長が協議の結果、この預金通帳は、都市計画課の総括主幹が保管、管理し、印鑑は、区画整理課で保管、管理することとした。

2.平成14年度公金不正支出事件

(1) 区画整理課は、本件土地区画整理事業完了後も乙に対し建物移転交渉をしていたが、同時に甲から換地上にある乙の建物の移転及び換地が使用できないことによる補償を求められていた。

(2) 課として、市側の不手際で甲に迷惑をかけているとの認識があり、何らかの損失補償をしなければならないという判断に至った。

(3) そのため、当時区画整理が継続している山辺西部第二土地区画整理事業の予算の中から支払う以外方策がないと判断し、山辺西部土地区画整理事務所長にそのことを要請した。

(4) 所長は当初そのような要請を断ったが、区画整理課係長から再三にわたって要請されたため所長としても本課の指示に従い、同事務所の予算の中から甲に対する 補償金を捻出せざるを得ないと判断し、平成15年1月7日、甲に対する建築物等移転補償金として金101万300円を支払う旨の補償金算定書兼施行回議書 をはじめとした関係書類を担当者に作成させ、平成15年1月10日付で足利市と甲の間で、足利市が甲に対し、平成14年度山辺西部第二土地区画整理事業のために支障となっている物件等を移転のため、金101万300円を支払うことを仮装し、その旨の補償契約書を作成した。

(5) その後、平成15年1月14日付で、甲の署名、押印がされた工事着手届、平成15年1月15日付で工事完了届が作成され、その後、この補償金の出金処理がされる。

3.平成17年度公金不正支出事件

(1) 市街地整備課は、先の平成15年1月10日に支払いをした以後も、甲から換地上の建物の移転及び補償を求められたことから、先に支払いをした以後の補償を 行うことになり、当時の市街地整備課長と係長が、平成17年4月頃、山辺西部土地区画整理事務所長を訪ね前回と同様の要請を行った。

(2) 所長は、再度の要請に躊躇していたが、市街地整備課から再三にわたって要請されたため所長としても本課の指示に従い、同事務所の予算の中から甲に対する補 償金を捻出せざるを得ないと判断し、平成17年9月8日、甲に対する建築物等移転補償金として金56万7500円を支払う旨の補償金算定書兼施行回議書を はじめとした関係書類を担当者に作成させ、平成17年9月12日付で足利市と甲の間で、足利市が甲に対し、平成17年度山辺西部第二土地区画整理事業のために支障となっている物件等を移転のため、金56万7500円を支払うことを仮装し、その旨の補償契約書を作成した。

(3) 平成17年9月13日付で工事着手届、平成17年9月16日付で工事完了届が作成され、その後、この補償金の出金処理がされる。

今後の対応

今後、市としては、金融機関から1145万6000円の預金の返還(乙名義となっているため)と、関係者から補償金157万7800円(101万300円+56万7500円)の返還(法令に根拠のない支出であるため)を求めていく予定です。

また、再発防止に向けた取り組みについて、今回の事案の原因、課題、調査結果等を分析するとともに真相の解明を進め、全庁を挙げて取り組んでまいります。

【新聞記事】
2011.08.26 読売新聞
2011.08.27 下野新聞
2011.09.07 下野新聞

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